レヴェナントを見てきた
レヴェナント~蘇りし者~を見てきました。
監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。以前、バベルやバードマンを撮影した監督です。
調べてみると、今回で五作目らしい。レヴェナントは既に様々な賞を受賞しているらしい。それも納得だ。これほど過酷で美しい映画もそれほどはないだろう。
前作「バードマン」でもそうだったが、この監督の描く世界はまったく甘えがない。完璧なまでに無慈悲な世界がそこに描かれる。
ぼくのなかでこの監督の作品は文脈に乗せられないので、細かいことはあんまり語らないでおくが、傑作だったことは断言しておきたい。グリズリーに襲われ仲間に棄てられた猟師グラスが息子を殺したフィッツジェラルドへと復讐を遂げる物語だ。
映画が始まった途端に33人もの味方が無残にも殺される。しかし、殺した側にも殺した側の理屈が存在する。土地を奪われ、文化を奪われ、娘すらも奪われた現地住民の視点と彼らに襲われ殺されていく人間たちの視点がフラットに描かれる。
何十人という人間が自分たちなりの理屈を抱えて生きている姿が描かれる。
本作ではグラスの息子ホークを殺したフィッツジェラルドはラスボスともいえる存在だ。しかし、彼には彼の信念や理屈があることが映画をみていると感じ取ることができる。
この過酷な世界にあるのは、無慈悲な神の祝福と弱肉強食の理論だけである。
機会があれば、この監督の映画は追いかけなおしてみたいところだ。前作バードマンでも見られたシームレスな視点移動が本作でも多用されていて、敵と味方と自然が一体となっているように描かれているのが印象的だった。
ただ、ぼくはこの監督の映画は過酷なだけの世界を描いているのとは違うのではないかなとも感じている。映画を通して大いなる神の意志、あるいは宗教的な精神性を示そうとしてるようにも感じる。
そういえば映画を見ながら「許されざるもの」を思い出した。人の意志は生きる方に無くのだなぁ。
メモとして記録しておこう。